最近大雨などの自然災害などで、電車が運休したり遅延することが多くないでしょうか?
仕事の予定や旅行など、きっぷを買っていざ電車に乗ろうと駅まで行ったら電車が止まっていた。
もしくは乗車中に災害や人身事故、安全確認・車内トラブルで電車が遅れた経験は一度はあるのではないでしょうか。
予定に間に合わなくなり乗車するのをやめたり、長時間の遅れで目的地まで着いたときに
- きっぷの払い戻しはできるのか?
- いくら戻ってくるのか?
- きっぷを変更できるのか?
- どこまで補償してくれるのか?
と疑問に思ったことはありませんか。
「そんなの鉄道会社が悪いんだから全額返金」「ホテルを用意」と言うお客さんも多いです。確かに予定が狂わされたのでお客さんの気持ちも大いに理解しています。
しかし鉄道会社ではどういう時にきっぷを変更するか・払い戻しするかなど、鉄道会社が「できる・できない」の細かいルールが決まっています。
そこでこの記事を読めば、鉄道会社が起因する運休・遅延時のきっぷの払い戻し方がわかり、「お客さん」「鉄道会社」両方の立場が理解できます。
事前知識があるため、ただでさえ電車が遅れて「イライラ」しているのに「できるできない」のやり取りで駅員ともめたり「ストレス」を抱えることが少なくなります。また支払った代金をルール内で余すことなく払い戻しできる。
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それでは説明していきます。ご案内するのは
現役鉄道マン兼旅行プランナーのやすべえが教えます
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まず結論からいうと
- 乗車前・使用前
- すでに運休や遅延が発生している場合→全額払い戻し
- 列車が1時間以上遅れることが確実な場合→他の列車の指定券に変更できる
- 同一区間で同じ券種の他の列車指定券に変更できる
- 列車が遅延して乗り換え予定の列車に乗車できない場合→後続の乗り換え列車に変更できる
- 変更時過剰額は払い戻し・不足額は収受しない(同じ区間・同種類のきっぷ)
- 遅れた列車指定券のまま後続列車の自由席利用の場合→指定券の半額返金できる
- 乗車後・使用開始後
- 途中駅で遅れのため旅行を中止する場合
- 乗車券→旅行中止駅から目的地駅まで使用していない分払い戻し
- 特急券・グリーン券など→全額払い戻し
- 乗車駅まで戻る場合(無賃送還)
- 乗車券→発駅まで戻る場合全額払い戻し(途中下車した場合は途中駅~着駅間払い戻し)
- 特急券・グリーン券など→全額払い戻し
- 他経路乗車
- 乗車券→他の最短経路で乗車可能(過剰額は払い戻し・不足額は収受しない)
- 特急券所持→他経路の特急列車に乗車可能(過剰額は払い戻し・不足額は収受しない)
- 有効期間の延長(きっぷは駅で預かります)
- 乗車券・自由席特急券→原券有効期間+運転再開後5日以内の乗車日前日まで
- 遅延・車両故障の場合→原券有効+1日
- 途中駅で遅れのため旅行を中止する場合
- 出発駅から目的地駅までの間で途中区間乗車できなかった場合(不乗区間)
- 乗車できなくなった駅から乗車再開駅までの間払い戻し
- 乗車中の特急列車が運転不可能になり後続列車に乗り換えた場合→特急券全額払い戻し
- 乗車列車が2時間以上遅延して目的地駅に着いた場合→特急券全額払い戻し
- 特急列車の冷暖房故障の場合
- 故障した指定席車両から他の指定席車両に席替え→払い戻し無し
- 変更できる指定席が無い場合→特急券全額払い戻し
- 故障した車両にそのまま乗車する場合→特急券全額払い戻し
- 自由席車両が故障した場合→他の自由席車両へ案内できる時は払い戻し無し
- 故障した自由席車両にそのまま乗車する場合→特急券全額払い戻し
上記のようにいろいろなルールがあります。これから詳しく説明していきますが、その前にもう一つだけよろしいでしょうか。
鉄道業界用語「旅行開始」「使用開始」の意味とは?
旅行を開始される駅で、乗車券の改札を受けたとき(無人駅は列車に乗車したとき)
特急券を使用し特急列車に乗車したとき
鉄道会社では「旅行開始前」「使用開始前」・「旅行開始後」「使用開始後」という言葉を使いますが、この記事ではわかりやすいように「乗車前・使用前」「乗車後・使用後」として案内します。
他にもきっぷのルールを知りたい方は下記のリンクへ
電車の運休、遅延時の払い戻しと変更(乗車前・使用前)
きっぷを購入した後に電車が運休・遅延が発生した場合、お客さんは運送契約(きっぷを購入して電車に乗る権利があること)を解除できると、鉄道営業法(法律)で定められています。
払い戻し
電車が運休・運転見合わせ・遅延の場合、事象が発生する前に購入したきっぷは全額払い戻しとなります。これは遅延などが発生した場合に限って無手数料で払い戻しをします。反対に運休・遅延の事象がなく払い戻しをする場合は手数料をいただく払い戻しとなります。
きっぷの変更
電車が運休・運転見合わせ・遅延の場合、きっぷの変更もできます。無手数料で変更できるルールまとめました。変更する列車は所持しているきっぷの同一区間同一種類の指定券(指定席特急券→指定席特急券へ グリーン券→グリーン券へ)です。
- 電車が運休・運転見合わせになった場合
- 遅延して乗り換え予定の列車に乗車できない場合
- 乗車前の列車がすでに1時間以上遅れることが確実な場合
- 出発に1時間以上遅れる場合
①の電車が運休・運転見合わせになった場合は→ 乗車したい列車が運休なのでこの先運転するであろう列車に変更できます。(状況により運転するといっていた列車が急遽運休になり、再度きっぷの差し替える場合があります)
②遅延して乗り換え予定の列車に乗車できない場合は→ 駅もしくは後続列車内で所持しているきっぷと後続列車のきっぷに差し替えます。
③乗車前の列車がすでに1時間以上遅れることが確実な場合→ 先行列車が定刻に運転しておりその列車に乗車した方が早く着く時などにきっぷを差し替えます。
④出発に1時間以上遅れる場合→ 乗車予定の列車1本のみが車両不具合などで遅れる時、後続列車が先に出発し目的地まで早く行けるきっぷに差し替えます。
特急券の払い戻し
上記の①~④事由できっぷを変更した場合で、所持しているきっぷの金額と変更したきっぷの金額を比較して過剰額は払い戻し、不足額が発生した場合はお金を頂きません。(同じ区間・同じ種類のきっぷに変更)
列車の運休・遅延を理由に乗車予定だった指定席特急券(グリーン券・寝台券を含む)を変更しないまま、他の列車の自由席・立ち席(全車指定席の列車が満席時)に乗車した場合は所持している指定席特急券の半額が払い戻しになります。
半額払い戻しできることを知らずに自動改札に入れて出て行かれるお客さんが多いです。
また上記の他にグリーン券や寝台券は全額払い戻しします。
車内で車掌がまわって来た時、きっぷの券面に「事故列変 自由席に変更」と証明してくれた場合は駅でスムーズに払い戻しができますよ。車掌は遅れの対応などできっぷに証明ができない場合がありますが、到着駅で駅員に説明すれば払い戻しができます。
予定があり急いでいて払い戻しの列に並ばなくても、きっぷの券面に証明してあれば1年間は払い戻し可能です。
乗車後・使用後に運休、運転見合わせ・遅延が発生した時の払い戻し
乗車後・使用後に運休、見合わせ・遅延が発生した場合、お客さんは4つの選択肢のうち1つだけ鉄道会社に請求できます。
途中駅で旅行をやめる・利用を中止する時の払い戻し
途中駅で運休や、この先運転見合わせのため「もう乗車しない」「この駅で降りる」場合は、きっぷの払い戻しができます。
使用中止した駅から最終目的地までの乗車していない区間を計算して払い戻し
目的地が特定都区市内(東京都区内・大阪市内・京都市内など)の時はその中心駅(東京駅・大阪駅・京都駅)までの間払い戻します。
乗車区間にかかわらず全額払い戻し
ただし寝台券は翌朝6:00までの間に限る(6:00を過ぎた後に見合わせなどが発生した場合は寝台列車の義務を果たせたと解釈します)
・乗車券は全額払い戻しではなく使用中止した駅までは乗車券を使用したとみなし、この先乗車しない区間の払い戻しを無手数料で行います。
最初の乗車駅まで戻る(無賃送還)場合の払い戻し
途中駅でこの先運転見合わせが発生した場合や、列車が遅れて予定がダメになり最初の駅に無料で戻ることができます。
無料で最初の駅まで戻れ、購入した乗車券は全額払い戻し
しかし戻っている時に途中駅で下車した場合→ 途中駅~最終目的地までの間払い戻しになります(最初の駅~途中駅まで使用したとみなします)
一番早い列車(乗車券のみ購入の方は普通列車・快速など)
所持している特急券などは全額払い戻し
ただし寝台券は翌朝6:00までの間に限る(6:00を過ぎた後に見合わせなどが発生した場合は寝台列車の義務を果たせたと解釈します)
特急列車や新幹線利用の方は一番早く戻れる特急列車・新幹線に乗車できます。
またグリーン券を所持していた方はグリーン車に乗車可能
・車内で車掌がまわって来た時や折り返す駅で、きっぷの券面に「事故返」と証明してもらうとスムーズに折り返しの列車に乗車できたり、払い戻しがすぐにできます。
他経路乗車
不通区間や列車の運休で所持しているきっぷの経路が利用できない場合は、最終目的地までの最短経路で迂回して乗車できます。
最終目的地まで他の最短経路でそのままのきっぷで乗車できる
所持している乗車券の金額と実際乗車した経路の金額を比較して過剰額は払い戻し、不足額が発生した場合はお金を頂きません
経路を変える駅で「不通〇〇線に変更」と証明をもらう
特急券を所持している方は他経路で走っている特急列車・新幹線に乗車できる
ただし、新幹線「のぞみ号」「みずほ号」「グランクラス席」や「プレミアムグリーン席」に乗車するときはそれぞれの鉄道会社が認めた場合のみ乗車できる
所持している特急券の料金と変更したきっぷの料金を比較して過剰額は払い戻し、不足額が発生した場合はお金を頂きません
上記の取り扱いはお客さんが選択できる他経路乗車の取り扱いです。
長時間の運転見合わせや不通が続くと各鉄道会社判断で「他経路乗車特認」という特別な通達が発令されます。
「他経路乗車特認」とは
長時間の運転見合わせや不通が続くと、お客さん救済のため各鉄道会社が決定したう回経路を利用して目的地まで行ける案内です
所持しているきっぷで迂回経路を乗車できます。
ただし実際の乗車経路が安い場合でも払い戻しは一切できません
乗車券には「他経路乗車特認」と証明を駅員の方にしてもらいます
所持していた特急券などは全額払い戻しして、新たに迂回乗車する列車の特急券を購入していただく
迂回経路や乗車列車により最初に払った金額より多く払う場合があります(申し訳ないですがお客さん負担になります)
「他経路乗車特認」各鉄道会社が決める特別な救済のためお客さんから駅員にお願いされてできるものではありませんので注意が必要です!
有効期間の延長
乗車券の有効期間の延長を申請できます。所持しているきっぷは申告した駅で預かり、乗車するときに駅に取りに来ることで使用できます。
・遅延や車両故障の場合は1日のみ延長できます
・運転見合わせ時に申請したら、運転再開後5日以内に使用を開始する日の前日まで日数を延ばせます
この説明分かりずらいですね。
例
1月1日使用開始の乗車券を所持している時に、大雪の影響で電車が1月1日から運行不可能になり1月4日に運転再開する場合で、1月6日に利用する時
・運転再開後5日以内とは 例では4日に再開するので1月8日までの間で
・使用を開始する日の前日とは 1月6日に利用するので1月5日まで日数延長するということ
駅できっぷを預かりお客さんには預かり証をわたし、再度使用するときに交換します。
有効期間の延長の取り扱いは「手間がかかる」のと「知らない」方が多く私は今までこの対応をしたことがありません
目的地駅までの間で途中区間乗車できなかった場合(不乗区間)
乗車駅から目的地駅までの駅間で運転見合わせが発生していて、途中の駅間乗車していない場合は不乗区間分の乗車券の払い戻しができます。
例
東京駅から新大阪駅まで乗車する際、途中の新横浜駅から静岡駅間停電のためその区間のみ運転見合わせが発生した場合
新横浜駅下車後タクシーを利用して静岡駅まで向かい、静岡駅から再度新幹線に乗車した時は、不乗区間の新横浜~静岡間払い戻しがあります。
※鉄道会社起因による遅れや運休時に、利用したタクシー代やバス代は申し訳ありませんが鉄道会社に請求できません。
乗車券 東京→新大阪8,910円
不乗区間 新横浜→静岡2,640円払い戻しできます。
乗車券には車掌・駅員に「〇〇駅~△△駅間不乗」と証明してもらいましょう。
乗車中の特急列車が運転不可能になり後続列車に乗り換えた場合
特急列車や新幹線に乗車中、その列車が車両故障などが発生しこの先運転不可能になった場合
特急券は全額払い戻しの上、後続の特急列車や新幹線にそのまま乗車できます。
また在来線特急列車を乗車していた場合に新幹線が並行して走っている区間は新幹線を利用できます。
ただし「のぞみ号」「みずほ号」「はやぶさ号」などは各鉄道会社が認めた場合に限る。
きっぷの券面に車掌から「〇月〇日△△列車急乗承」と証明してもらいましょう。
乗車列車が2時間以上遅延して目的地駅に到着した場合
乗車している特急列車や新幹線が到着時刻より2時間以上遅れて到着した場合は、特急料金を全額払い戻しします。
払い戻しは特急料金(自由席特急券も)のみです グリーン券やグランクラス券は払い戻しできません
特急料金はスピードに対して支払っているもので、グリーン券などは設備に対して支払っている料金のためです
2時間以上遅れて到着したら、有人の駅であれば窓口に行ってその場ですぐ払い戻しができます。
到着駅が無人駅・営業時間終了などでその場ですぐ払い戻せない場合は、払い戻し期限が1年間有効なのでその間に有人駅に持って行って払い戻しを必ず受けましょう。
上記のルールを知らない方が多いためか、到着駅の自動改札に入れてそのまま出て行かれる方がいます
特急列車の冷暖房故障の場合
電車は運転開始前にちゃんと設備が稼働するか確認作業を行っています。しかし走っている途中で故障することもあります。冷暖房故障もその一つで、走っている最中に冷房が故障して吹き出し口から水がしたたり落ちることもあります。
故障した車両が普通指定席車・グリーン車・寝台車の場合
他の指定席・寝台車の空席に案内 |
空席案内できた場合は払い戻し無し 案内できない場合は特急料金・グリーン料金・寝台料金全額払い戻し |
案内できない場合きっぷの券面に「冷暖房故障立席」と証明し到着駅で払い戻し |
故障した車両が自由席の場合
他の自由席の空席に案内 |
他の自由席が満席で利用できない場合は普通車指定席に案内 |
差額の料金は収受しない |
故障した車両にそのまま乗車する場合(お客さんの意思)
お客さんの意思で故障した車両にそのまま乗車し続ける場合は
特急料金(自由席も)・グリーン料金・寝台料金全額払い戻し
基本は空いている代替え席がある場合はその席を案内しますが、お客さんが車掌に断り故障車両でそのまま乗車すると伝えれば特急料金は全額払い戻しできます。
暑い・寒い中エアコンが効かないのを我慢するかはお客さん次第です
まとめ
ここまで鉄道会社が起因する運休・遅延時のきっぷの払い戻しできる内容や、お客さんが選択できる方法を案内してきました。
この記事を最後まで読んでいただいた方は、払い戻しができる・できないのルールや、今まで知らなかった方法があったのではないでしょうか。鉄道会社が起因する遅れや見合わせでは、お客さんに迷惑をかけているので最大限の対応を各社行っていますが、どうしても「できること・できないこと」があります。
代替えの交通費(タクシー・バス・飛行機)やホテル代などは鉄道会社に請求されてもお支払いできません。
毎日どこかの鉄道で人身事故や気象災害、線路内人立ち入り、踏み切り故障、動物と接触などで運転見合わせや遅延が発生しています。利用者は予定がくるい「イライラ」したり「ストレス」がたまりますよね。
この記事で紹介したことを知っておけば、ただでさえ電車が遅れて「イライラ」しているのに「できるできない」のやり取りで駅員ともめたり「ストレス」を抱えることが少なくなります。また支払った代金をルール内で余すことなく払い戻しできる。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
少しでも便利にお得に鉄道を利用し旅行していただけたら幸いです。
あなたの目的地まで出発進行!